ファイナリストの進路・活躍
福﨑 奨さん
ITやWebを活用して、人々の生活の役に立つ何かを作りたい
高校: | 慶應義塾湘南藤沢中高等部 |
大学: | 慶應義塾大学 環境情報学部 環境情報学科 在学中 |
コンテストの経験は、大学進学やこれまでの進路にどのような影響がありましたか?
Webコンテストに出品した各作品のテーマに現在でも興味を持っていてWebにも興味があるので、内部進学で慶應義塾大学環境情報学部(SFC)を選びました。
SFCは、文理融合のキャンパスで多様な学びを実現でき、IT設備も整っているのでWebコンテストで得た学びを役に立てることができると考えています。
これまでの歩みを振り返り、コンテストに参加して学んだこと、得た成果は何だったでしょうか?
私は、Webコンテストに中学一年生のころから6年連続で参加し、高校三年生まで続けました。やはりWebサイトを作る大会なので、HTMLやCSSのコーディング、図の作成、文章の作成、動画の作成、英語版ページの作成…と高度な、また大量の作業が必要となります。ですので、Webコンテストに参加するには相当の覚悟と苦労が必要だと考えています。
その代わり、得るものは大きいです。私の場合、大量の作業をこなしていくにつれ、「どうしたら効率良く作業を進められるか」「どうしたら深い内容にできるか」など、確実に役に立つことを学びました。
またチームをまとめる立場になってくると、複数人で大きなプロジェクトを達成する大変さを実感しました。自分も作業をしなければいけない状況下で、サボるメンバーがいたり、作業が割り振られていないメンバーがいたりすると、チーム全体の作業効率が悪くなります。
そこで、「To-Doリストを作りやらなければいけないことをリスト化して管理する」というアドバイスを先輩からいただき、それを実践しました。
また、メンバーの立場になって作業を頼むことを心がけました。もともと人に頼まず自分で済ませる性格だったので、人への頼み方のハウツー本なども参考にしてメンバーとのコミュニケーションをとりました。
最後に、情報は足で稼いで入手すべきだと痛感しました。Webコンテストは、書籍やWebサイトからの情報、いわゆる「二次情報」よりも、自分たちで実験、体験、議論、調査、取材などを経て得る「一次情報」を重視しています。最初の頃は仕方なく一次情報を獲得する努力をしていたのですが、数年とやっていくうちに自分たちで体験、調査、取材をしていくことが楽しくなってきました。
例えば私が高校三年生のときに制作した「地方交通の危機」では、メンバー各自が全国各地に赴き実地調査を行い、サイトの結論の導出に役立てました。文献を調べるだけでは導き出せない、より実現性の高い結論が導き出せたと考えています。また、高校二年生の時に制作した「アレルギー共生社会」では、スギ花粉症の根本的治療を目指す舌下免疫療法を実践し、今も続けています。そのおかげで、今年(2019年)の花粉シーズンはかなり快適に過ごせています(笑)。
このように、普段の学校の勉強では経験できない面白い体験をすることができました。
この経験は、その後のご自身の学習活動にどのように活かされていますか?
高校時の英語学習に積極的になったと感じています。
Webコンテストで大臣賞を受賞したことによりe-ICON世界大会に行かせていただき、韓国の生徒と学習アプリを制作しました。韓国の生徒とは英語でコミュニケーションをとる必要がありました。大体のことは頑張ってコミュニケーションが取れましたが、スムーズに意思疎通が取れなかったり、伝えきれないことが多くありました。一方、韓国の生徒は英語がペラペラで、レベルの差を痛感しました。その後、学校の短期留学プログラムや研修プログラムに積極的に参加し、英語力の強化に努めました。
英語力を強化することで、これまで帰国生のメンバーにやってもらっていたWebサイトの英訳を自分ですることができるようになりました。英訳をこなすにつれ、英語力をさらに上げることができました。
大学に進学してからも、留学するなどして英語力を上げ、英語の授業を履修してみたいと考えています。
また、高校二年生の時にバスの時刻をカウントダウンするWebアプリを作成しました。私が通っているキャンパスはバスでしか通えない場所に位置していて、バスの時刻表をカウントダウンしてくれるアプリの存在は自分にとって不可欠でした。数年前までは時刻のカウントダウンをしてくれるAndroidアプリが存在したのですが、配信停止になってしまい不便でした。そこで、コンテストで学んだコーディング技術をもとに自分でWebアプリを作成してしまいました。もともとは自分用で作ったものですが、友達や部活の後輩などに使ってもらっていて、便利という声をいただいています。
このようにWebコンテストに参加したことによって、何かを作るにあたっての技術的、精神的な壁も低くなったように感じます。
論文執筆にもWebコンテストの経験が役立ちました。通っていた高校では高校三年生で文系コースを選択すると「論文実習」という形で論文執筆が課せられます。Webコンテストで得た問いの発見能力、広い視点からアプローチする方法、効率的な作業方法は論文執筆にもそのまま適用できました。その結果、Webコンテスト作業と同時並行で執筆したにもかかわらず優秀論文に選ばれることができました。
受賞作品
- 「地方交通の危機」(第21回全国中学高校Webコンテスト 総務大臣賞/プラチナ賞 受賞)
- 「アレルギー共生社会」(第20回全国中学高校Webコンテスト 文部科学大臣賞/プラチナ賞 受賞)
- 「Design for All」(第19回全国中学高校Webコンテスト 経済産業大臣賞賞/プラチナ賞 受賞)
- 「歴史に潜む忍者たち」(第18回全国中学高校Webコンテスト 総務大臣賞賞/日本オラクル奨励賞/プラチナ賞 受賞)
- 「生物毒研究所」(第16回全国中学高校Webコンテスト 銀賞 受賞)
- 第7回e-ICON世界大会出場(日本代表)(第2位)