制作者による作品紹介
彫刻家・佐藤忠良氏を先生として「触る」「見る」「描く」「創る」「かたち」の5項目をキーワードに、平易な言葉で語ってもらうことを狙いとした。素直な語り(テキスト)と、自然なたたづまい(写真)にて、創作の視座・創作のせつなさ・創作のやさしさ・語らない厳しさ・創作への思い・飾らない意見・とつとつとした姿勢・デッサンの確かさなどを、アトリエと故郷を歩く姿から創作の深層を語るドキュメンタリーな写真絵本とした。
美術鑑賞においては、ともすれば頭でっかちの知識偏重的傾向が見られるが、佐藤忠良氏は五感、特に触ることの大切さを訴えている。彫刻家生活60年を越えてなお好奇心旺盛な姿勢からは、形式張った鑑賞の枠を超えた新たな美の楽しみ方が見えてくる。「興味のある対象」に「手と眼」を使って「触ってみる」こと。肩の力を抜いて五感を働かせ美術を味わうさまざまな体験を挙げながら、平明で深い美との関わり方を語ってもらうことで、美術を志す若者のみならず幅広い人々の共感を得られるものと考える。
「生きているかたちを求めつづける創造的信条。自分の経験にもとづいて語られる言葉。」これらが素直に伝わるコンテンツを目指した。 |