次世代を創る人材育成プログラム
ThinkQuest(シンククエスト)の活動

【「インターネット白書 2002」(株式会社インプレス、2002年7月、p.163) 掲載】

シンククエスト事務局/グローバルコモンズ株式会社
望月 なを子



次のステージへ動き出したThinkQuest

 ThinkQuest は、2〜3人の中高生と、1〜3人のコーチが一つのチームを組み、半年から1年をかけて、一つの題材についてWeb教材を制作し、その出来映えを競うというコンテストである。応募部門は「科学・数学」「芸術・文学」「社会科学」「スポーツ・保健」「学際(複数の学問分野にまたがるもの)」の5つがあり、選ぶテーマは自由であるが、世界中の生徒に役に立つ内容であることが条件となる。これまでに世界約100か国から、3万人以上の中高生が参加し、5,000 以上の作品が教材ライブラリーに登録されてきた。
 1996年に米国でスタートした ThinkQuest Internet Challenge(国際大会)は、2001年度コンテストを以て閉幕し、次のステージへと動き出した。新たなプログラムの幕開けとして、7月には国際フォーラムTQ-LIVEが米国シアトルで開催、過去6回のファイナリストを中心に、世界各国の中高生たちが一堂に会する。また日本を含む世界11か国で、ThinkQuest のローカルコンテストが相次いで開催されており、各国での取り組みはますます盛んとなっている。
 日本で開催している ThinkQuest@JAPAN は、5回目のコンテストを迎えようとしており、教育の情報化が進められる中、プログラムの充実とその成果にますます大きな期待が寄せられている。


TQJ2001での新たな試みと成果

 今年度開催された ThinkQuest@JAPAN2001 には、中学生・高校生の部に1,219人、大学生・社会人の部には222人、計1,441人が応募し、昨年の2倍を記録した。(図1)参加者は、2月中旬の作品提出を経て、3段階(第1次審査、第2次審査、最終審査)にわたる審査を受け、その結果、40人(15チーム)がファイナリストに決定し、プラチナ賞、金賞、銀賞、マルチイヤー優秀賞を受けるとともに、文部科学大臣奨励賞、総務大臣賞、経済産業大臣賞、特別賞の授与を受けた。
 今回の審査では、ThinkQuest の教育的効果を高めるために、第2次審査通過チームに対し課題を与え、この成果を最終審査の項目に追加した。課題は次の3つ。第2次審査員の評価コメントを参考に、作品を改良すること。マーケティング活動を行い、その報告を提出すること。ビデオテープによるプレゼンテーション資料を提出すること。この試みは、特に中学生・高校生の部において大きな成果をあげた。ぜひ受賞作品をご覧になっていただければと思う。(http://thinkquest.jp/library
 

産業界と教育界の対話に向けて

 2002年4月は学習指導要領が改訂され、「総合的な学習の時間」が設置されるなど、教育界において大きな変革のスタートとなった。この改訂の意図の一つには、10年後の世の中において求められる学力(能力)を育てることがあり、またこれは産業界が求める人材に相通ずるものと言える。また ThinkQuest は、このような人材を育成する教育プログラムであると言っても過言ではないだろう。
 ThinkQuest では、ThinkQuest という教育プログラムを通じて、社会と教育とを結びつけようとする試み「ThinkQuestコンソーシアム」の創設に、新たに挑戦しようとしている。コンソーシアムでは、企業や自治体が会員となり、コンテストの開催、教材ライブラリーの整備、インターンシップなどの活動を行っていく。(http://thinkquest.jp/conso/)これは、教育界と産業界との間における対話への試みであり、またともに協力して日本の未来を創っていこうとするチャレンジであるとも言える。次世代を創る人材育成のプログラムとして、2002年、ThinkQuest はさらなる飛躍の年を迎えようとしている。