世界最大規模の教材Webコンテスト
〜ThinkQuest(シンククエスト)

【「インターネット白書 2001」(株式会社インプレス、2001年6月、 p.181) 掲載】

ThinkQuest 日本プログラム事務局
望月 なを子



インターネット利用の促進とWeb教材ライブラリーの充実に貢献

 ThinkQuest は、1996年、米国で始まった世界最大規模の教材Webページの国際コンテストである。2〜3名の中・高校生が一つのチームを組み、半年〜1年かけて Web作品(英語)を制作し、それを競う。作品は、世界中(オンライン上)で学習教材として活用されることが条件となっており、応募部門は、「科学・数学」「芸術・文学」「社会科学」「スポーツ・保健」「学際」の5部門から自由に題材を選ぶことができる。制作された作品は、その教育的価値、品質、インタラクティブ性、メンバー間の協力の度合い、作品の利用のされ方や将来性といった点に基づいて、複数の審査員によって審査される。これらは審査基準として予め参加者にも公開されており、ThinkQuest が求める「インターネットスタイルの学習」を追求する内容になっている。
 ThinkQuest のねらいは、中高生のインターネット利用の促進とインターネット上の教育コンテンツの充実にある。よって、制作された作品はそれが教育的価値があり、皆に利用されうる作品であると判断されれば、ThinkQuest の教材ライブラリー上に公開される。現在、このライブラリー(http://www.thinkquest.org/library/index.html)には4000作品が登録されており、ひと月におよそ200万人のアクセスが記録されている。利用者によって、利用されながら、(掲示板、メール、アンケートなどによって情報が提供されたり、改善されたり、意見が交換されたりして)その作品の内容がより高められることが、ThinkQuest の価値ある特徴の一つと言えよう。


世界100万人の参加者を目指して

 5回目を迎えたThinkQuest Internet challenge 2000 には、世界85か国から6882人(2615作品)が参加した。最優秀賞を勝ち取ったのは、「Sense - Seeing is Believing 」(http://library.thinkquest.org/C001464/)という「視覚」について学べる作品。日本の参加者からは、ブルガリア・アメリカの生徒と共に制作した「航海」について学べる作品、「Virtual Maritime Academy」(http:/library.thinkquest.org/C004706/)が佳作として評価された。授賞式は、当初エジプトのカイロにて行われる予定であったが、中東情勢を案じ、スイスのジュネーブにて3月に開催され、計24チームが各賞を受けた。これまでは、最優秀賞と各部門3つのステイタス(プラチナ賞、金賞、銀賞)を基本に授賞を行ってきたが、去る2月に応募受付を開始したThinkQuest Internet Challenge 2001では、ルールを変更し、さらに多くの参加者をこのコンテストに促すべく、授賞対象の幅をベスト100チームへと広げた.
 ThinkQuest では、2005年までに100万人の参加者を見込んでおり、それに向かって新しいプログラムやその仕組みが日夜、開発・検討されている。
 ThinkQuest のナショナルパートナーは、現在63か国あり、自国からの参加者を促進・支援している。日本のように母国語で制作するローカルコンテストを実施している国は、現在、オランダ、韓国、日本の3か国のみであるが、スイス、デンマーク、香港、台湾などもローカルコンテストに向けて準備を開始している。こうした各国の言語を通じて、ThinkQuest のコンセプトが大きく広がることが期待されている。
 

3年目を迎えた ThinkQuest@JAPAN

 日本語で作る Web教材コンテストThinkQuest@JAPAN は、 1998年の立ち上げから3年目を迎えた。今年度は、中学生・高校生の部に1011人、大学生・社会人の部に269人、総勢1280人が応募、昨年度の2倍を記録し、初めて1000人を突破した。(表1)この中には、「総合的な学習の時間」また新教科「情報」を見据え、選択授業や特別授業の中で、ThinkQuest を導入し始めた学校も少なくない。学校へのインターネットの導入とともに、その利用面での試みが意欲的に実施されつつあることを確認できる。
 また「大学生・社会人の部」においては、ThinkQuest に参加し、作品を提出して初めて「単位」を与えるという講義スタイルも現れ、作品の品質向上にも貢献している。このように、学校の授業や講義の中での利用は、今後ますます増加すると思われる。
 ThinkQuest は生徒・学生自らが主体となって学習を進めていくプログラムである。知識や知恵をお互いに与えあい、探りあい、補完しあいながら、その実践の過程に価値を見いだすものでもある。文部省が謳う「生きる力」を促し、21世紀を生き抜く力強い人材を育てる教育プログラムとして、ますます発展し、活用されていくことを確信している。