世界最大規模のオンライン教育プログラム
ThinkQuest(シンククエスト)の活動

【「インターネット白書 2000」(株式会社インプレス、2000年6月、 p.161) 掲載】

ThinkQuest 日本プログラム事務局
小川 布志香



教育コンテンツの充実を目指したウェブページ制作コンテスト

 ThinkQuestは、1996年に米国で始まった、中高校生を対象としたウェブページ制作コンテストである。2〜3名の生徒でチームを組み、半年〜1年かけてウェブページ(英語)を制作する。作品は、世界中の生徒が学習に利用できる内容であることが条件だが、そのテーマは「科学・数学」「芸術・文学」「社会科学」「スポーツ・保健」「学際(複数部門にまたがるもの)」の5部門のいずれかに属すれば自由に決めることが可能である。

 制作された作品は、その教育的価値、品質、インタラクティブ性、メンバー間の協力の度合い、作品の利用のされ方や将来性といった観点から評価される。主な賞は、部門賞3賞(プラチナ賞、金賞、銀賞)、ならびに、部門を越えて最も優秀な作品へ贈られる最優秀賞。賞金は、最優秀賞を受賞した生徒に贈られる25,000ドルの奨学金(大学等への入学金・授業料に充当させることが受け取りの条件)を最高額として、総額100万ドルの奨学金・賞金が、生徒、生徒を指導したコーチ、生徒の所属する学校へ授与される。  ThinkQuestのねらいは大きく2つある。1つは中高校生のインターネット利用を促進すること。もう1つは、インターネット上の教育コンテンツを充実させることである。すなわち、教育的価値があると認められる作品は全て、インターネット上の教材ライブラリーへ加えられていく。また、コンテスト終了後も引き続き作品を更新・改良できるのもこのコンテストの特徴だ。

 日本におけるThinkQuestに関わる活動は大きく2つある。第1はThinkQuestへの日本からの参加を支援・促進すること、第2は「ThinkQuest@JAPAN」の開催である。

世界から1万9000人が参加
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ThinkQuest '99 社会科学部門銀賞受賞
「Discovering China: The Middle Kingdom」
日本、アメリカ、南アフリカの生徒による作品
http://library.thinkquest.org/26469/


 ThinkQuest '99へは、世界76カ国より6,793人(2,596チーム)、このうち日本からは65人(29チーム)が参加した。最終的に744チームが作品を提出し、約2ヶ月間にわたってオンラインによる第1次、第2次審査が進められ、最終審査に進んだのはわずか26チームであった。その中には、日本からの2チームも含まれていた。

 最終審査は、米国・ロサンゼルスにおいて、審査員の面前で行う作品のプレゼンテーションとその内容に基づく面接審査という形式で進められ、その結果、日本からの2チームは、科学・数学部門と社会科学部門において、それぞれ銀賞を受賞した。

 ThinkQuestは、ここ数年のうちに参加地域、参加者数ともに増え続け、これまでに90カ国1万9000人の生徒が参加している。このように短期間で世界最大規模のオンライン教育プログラムに急成長したことを受けて、これまで米国で開かれてきた最終審査・授賞イベントは隔年ごとに米国外で行うことが計画されており、その最初の年であるThinkQuest 2000はエジプト・カイロにて開かれることが決定している。




日本独自のコンテストも開催 ThinkQuest@JAPAN '99

 ThinkQuest@JAPANは、ThinkQuestが英語による作品制作ということから参加が難しかった日本の中高校生を主な対象とし、1998年よりスタートしている。また、「大学生や社会人の部」を設けて独自の展開も図っている。

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ThinkQuest Webサイト
http://www.thinkquest.gr.jp/


 第2回を迎えるThinkQuest@JAPAN '99へは、中学生・高校生の部に311人(118チーム)、大学生・社会人の部に147人(58チーム)の申込みがあった。またこの中には、アメリカ、エジプト、オランダ、ニュージーランドからの参加者も含まれている(結果発表は2000年6月)。

 ThinkQuestは、参加者の知的好奇心をかき立て、知の旅にいざなう。また、このプログラムを通じて、他人を尊重し協力しながら作業を進めていくことや、インターネットを活用する能力などが身に付けられるであろう。まさに、ThinkQuestは21世紀に必要な人材育成プログラムであり、今後より一層このプログラムが教育現場で活用されることを強く望むものである。